メダカは小さくて可愛らしい魚ですが、実は自宅で簡単に繁殖させることができます。
メダカは水温が20度を超えると産卵を始め、水草や網などに卵を産み付けます。 卵は水質や水温、日照時間などの環境によって孵化までの時間が変わりますが、だいたい14日ぐらいで小さな稚魚が泳ぎ出します。
しかし、メダカの卵を孵化させるには、ちょっとしたコツが必要です。 水槽の中に放置しておくと、親魚に食べられたり、カビに侵されたりする危険があります。 また、稚魚が生まれたら、適切な餌を与えて健康に育てることも大切です。
この記事では、メダカの卵の孵化と育成の方法を、私の実務経験から得たノウハウをもとに、わかりやすく解説します。 メダカの卵を見つけたら、ぜひ参考にしてみてくださいね。
Table of Contents
メダカの卵の孵化と育成のコツ!カビ対策や餌の与え方など
メダカの卵を発見したら、すぐに孵化用の容器に移しましょう
メダカの卵を孵化させるには、まずは水槽から卵を取り出して、別の容器に移すことが必要です。 これは、水槽の中では、親魚や他の魚に卵を食べられてしまう可能性が高いからです。 また、水槽の水質は汚れやすく、カビや雑菌の発生にも注意が必要です。
孵化用の容器は、大きめのプリンカップぐらいのサイズがおすすめです。 プリンカップは、開口部が広くて酸素が溶け込みやすく、透明で卵の様子が見やすいというメリットがあります。 卵1塊に対して、500ml程度の水が入る容器が理想的です。
もし、産卵した親魚の情報を管理せずに、普通に孵化させるだけなら、タッパーにまとめて入れても構いません。 その場合は、2Lぐらいの水量が入るタッパーを使いましょう。 タッパーの場合は、蓋を少し開けておくか、穴を開けておくことで、酸素の供給を確保できます。
孵化用の容器の水は毎日交換しましょう
孵化用の容器の水は、毎日交換することが大切です。 水が古くなると、カビや雑菌が繁殖しやすくなり、卵に悪影響を及ぼします。 水換えの際は、水道水をそのまま使っても構いません。 水道水にはカルキ(塩素)が含まれているので、カビや雑菌の発生を抑える効果があります。 卵はカルキに対して耐性があるので、心配はいりません。
ただし、カルキは放置すると1日ぐらいで抜けてしまうので、毎日水換えをする必要があります。 また、カルキは稚魚にとっては毒になるので、孵化が近づいたら、カルキ抜きした水に変えましょう。 孵化が近いときは、卵の中に目玉がはっきりと見えるようになります。
メダカの卵には日光を当てると早く孵化します
メダカの卵を孵化させるには、光量や水温も重要な要素です。 卵の成長を促すには、日光を当てるのが一番効果的です。 日光は、卵の代謝を高めて孵化を早めるだけでなく、カビや雑菌の発生を抑える効果もあります。
※ただし日光がいいといって水温には注意!!渡し忘れていて30度を超えて全滅させたことがあります。とほほ。
メダカの卵には、13~14時間ぐらいの日照時間が理想的です。 窓辺やベランダに置いておくだけでも孵化は可能ですが、日光が十分に当たらない場合は、熱帯魚用や植物育成用のLEDライトを使っても構いません。 LEDライトは、消費電力が少なく、発熱も少ないので、卵にとって安全です。
また、水温は25℃前後が適温です。 メダカの卵は、積算温度250度で孵化します。 積算温度とは、水温と日数の積のことで、例えば水温が25℃なら、10日で250度になります。 つまり、水温が25℃なら、約10日で孵化するということです。 逆に、水温が20℃なら、約13日かかります。
水換えの時は、水温が急激に変わらないように注意しましょう。 日光を当てる時は、水温が高くなり過ぎないように気を付けましょう。 特に、小型の容器では、水量が少なく、日光を当てるとすぐに水温が上がります。 水温が高すぎると、卵が熱死してしまうこともあります。 水温を測るために、気温計や水温計を用意しておくと安心です。
メダカの卵にカビが生えたら、早めに処理しましょう
メダカの卵にカビが生えるのは、無精卵が原因です。 無精卵とは、受精していない卵のことで、白く濁って見えます。 無精卵は、いくら待っても孵化しませんし、カビの温床になります。 カビは、無精卵だけでなく、有精卵にも感染する可能性があるので、早めに取り除くことが必要です。
無精卵と有精卵の見分け方
無精卵と有精卵の見分け方は、卵の色や形で判断できます。 無精卵は、産卵から数日以内に白く濁って見えます。 有精卵は、黒い点が見えるようになります。これは、卵の中に目玉ができるサインです。
無精卵と有精卵の見分け方を覚えると、カビの発生を防ぐことができます。 無精卵は、孵化することはないので、早めに取り除きましょう。 有精卵は、カビに感染しないように注意しながら、孵化まで管理しましょう。
カビの発生を防ぐ方法
カビの発生を防ぐには、水質管理と光量管理が重要です。 水質管理は、毎日水換えをすることで、カビや雑菌の繁殖を抑えることができます。 水道水をそのまま使うと、カルキの効果でカビの発生を防ぐことができますが、孵化が近づいたらカルキ抜きした水に変えましょう。
光量管理は、日光を当てることで、卵の代謝を高めて孵化を早めることができます。 日光は、カビや雑菌の発生を抑える効果もありますが、水温が高くなり過ぎないように注意しましょう。 水温が高すぎると、卵が熱死してしまうこともあります。
カビの発生を治す方法
カビの発生を防ぐことができなかった場合は、カビの発生を治す方法を試してみましょう。 カビの発生を治す方法として、魚病薬の一種であるメチレンブルーを使う方法があります。
メチレンブルーは、着色性の薬なので、無精卵は青く染まりやすいです。 この性質を利用すると、無精卵と有精卵の見分けが容易になります。 無精卵は、青く染まったら取り除きましょう。 有精卵は、カビが取れるまでメチレンブルーに浸けておきましょう。
メチレンブルーの使用方法は、以下の通りです。
- 孵化用の容器にメチレンブルーを入れる。濃度は、水1Lに対してメチレンブルー1ml程度が目安です。
- 卵をメチレンブルーに浸ける。卵が青く染まるまで、数分から数時間かかります。
- 無精卵を取り除く。無精卵は、青く染まったらすぐに分かります。ピンセットなどで丁寧に取り除きましょう。
- 有精卵を管理する。有精卵は、カビが取れるまでメチレンブルーに浸けておきましょう。メチレンブルーは、光に当たると分解されるので、毎日水換えと再添加をしましょう。
- 孵化直前に水を変える。メチレンブルーは、稚魚にとっては毒になるので、孵化直前にはカルキ抜きした水に変えましょう。孵化直前は、卵の中に目玉がはっきりと見えるようになります。
メチレンブルーは、カビの発生を治す効果がありますが、濃度が高すぎると有精卵まで染色してしまうので注意しましょう。 また、メチレンブルーは手や服に付くと落ちにくいので、取り扱いには気を付けましょう。
メダカの稚魚の育て方
メダカの卵が無事に孵化したら、次は稚魚の育て方について考えましょう。 稚魚の育て方は、餌の与え方や水質管理がポイントです。
稚魚の餌の与え方
稚魚の餌の与え方は、稚魚の大きさに合わせて変えていきましょう。 稚魚は、孵化した直後は卵黄を食べて生きていますが、卵黄がなくなると餌を与える必要があります。 餌は、稚魚が食べられる細かさにすることが大切です。
稚魚の餌の与え方の目安は、以下の通りです。
- 孵化後1~2日目:卵黄を食べるので、餌は不要です。
- 孵化後3~7日目:卵黄がなくなるので、餌を与えます。餌は、乾燥酵母や人工飼料などを粉末状にしたものがおすすめです。餌は、1日に2~3回、少量ずつ与えましょう。
- 孵化後8日目以降:餌は、乾燥酵母や人工飼料などを粒状にしたものや、冷凍赤虫などを与えます。餌は、1日に2~3回、適量ずつ与えましょう。
餌の与え方は、稚魚の食べ残しや水質の悪化に注意しながら、調整していきましょう。 餌の量は、稚魚が5分以内に食べきれる程度が目安です。 餌の種類は、稚魚の好みや成長に合わせて、バランスよく変えていきましょう。
※私は上記の方法の他に、別の水槽を用意しておき1,2か月前から何も入っていない状態で稼働させ、ミジンコなどが自然発生しておくようにしています。あくまで参考までに。
稚魚の水質管理
稚魚の水質管理は、水換えと水質の調整が重要です。 水換えは、餌の食べ残しや排泄物などで汚れた水を新鮮な水に入れ替えることで、水質を維持することができます。 水質の調整は、水温やpHなどの水の性質を適切な範囲に保つことで、稚魚の健康を守ることができます。
稚魚の水質管理の目安は、以下の通りです。
水換え:水換えは、1日に1回、半分ぐらいの水を入れ替えましょう。水換えの際は、水道水をそのまま使っても構いませんが、カルキ抜きをしておくとより安全です。水温は、孵化用の容器と同じか、少し高めにすると良いです。水温の差が大きすぎると、稚魚にストレスを与えてしまいます。
- 水質の調整:水質の調整は、水温やpHなどを適切な範囲に保ちましょう。水温は、20~25℃が適温です。水温が低すぎると、稚魚の成長が遅くなります。水温が高すぎると、稚魚が弱くなります。pHは、6.5~7.5が適切です。pHが低すぎると、稚魚の皮膚や鰓にダメージを与えます。pHが高すぎると、稚魚の代謝が低下します。水温やpHを測るために、水温計やpH試験紙を用意しておくと便利です。
メダカの卵の孵化と育成は、少し手間がかかりますが、楽しくてやりがいのある趣味です。 メダカの卵から稚魚が生まれる瞬間は、感動的ですよ。
孵化した稚魚の飼育方法
メダカの稚魚は、非常に小さくて繊細です。孵化した稚魚は、以下の点に注意して飼育しましょう。
飼育容器や水流に注意!
孵化した稚魚は、小型の容器で飼育すると、水質の悪化やカビの発生によって死んでしまう可能性が高くなります。そのため、大きめの飼育容器に移すことがおすすめです。移すときは、周囲の水ごと掬って、ゆっくりと移しましょう。稚魚は水の温度差に弱いので、急な温度変化を避けることが大切です。
また、孵化直後の稚魚は遊泳力がほとんどありません。ろ過フィルターなどを設置すると、稚魚が吸い込まれてしまうことがあります。そのため、成長するまでろ過フィルターは設置せずに、水換えで水質を管理しましょう。水換えは、1日に飼育水の10~20%程度を行うのが目安です。水換えの際には、水道水に塩素が含まれている場合は、必ず塩素を除去する処理をしてから使用しましょう。
少し成長したら、水流が穏やかなスポンジフィルター付きの水槽で飼育するのもおすすめです。スポンジフィルターは、稚魚が吸い込まれにくく、水質の浄化にも効果的です。水槽の大きさは、稚魚の数や成長に応じて適切に選びましょう。一般的には、10~20リットル程度の水槽が適しています。
多めの水量を確保して、水質悪化を緩和することがポイントです。
稚魚用の餌を与える!
メダカの稚魚の死因に多いのが餓死です。誕生直後の稚魚はかなり小さいため、親魚が口にしているような餌は大きすぎて食べられません。そこで、稚魚が口にできるような微細な餌を用意する必要があります。
稚魚用の餌としては、パウダー状の人工飼料だけでなく、ゾウリムシなどの動物プランクトンやクロレラなどの植物プランクトンが有名で、培養している飼育者も多いです。
プランクトンの培養には、プランクトン用の餌が必要ですが、成長率はかなり上昇します。 とはいえ、植物プランクトンは太陽光とメダカの排出するフンなどの養分があれば自然と増えますし、ゾウリムシは「米のとぎ汁」や「イースト菌」などの身近な材料でも培養可能です。
植物プランクトンが豊富な飼育水の状態を『グリーンウォーター』と呼びます。グリーンウォーターは、稚魚にとって最適な餌となります。いつでも餌を食べられる飼育環境を作ることが、稚魚育成にとって最も大切なポイントです。
稚魚に餌を与えるときは、少量ずつ何回かに分けて与えるのが良いです。餌の量は、稚魚がすべて食べきれる程度にしましょう。餌の残りが水質を悪化させる原因になります。
メダカが卵を産む条件と方法
メダカが卵を産むには、以下の条件が必要です。
- 1日の日照が13時間以上
- 水温が20度以上
- 水草や産卵床がある
メダカにとって日光は欠かせない生活の一部です。1日のなかで13~14時間ほど日光浴をすると、水温20度以上でよく産卵するようになります。
しかし、近年の猛暑では、直射日光を当ると水温が高くなりすぎます。
屋外飼育やビオトープ飼育では、すだれや水草などで程よい日陰を作り、高水温になりすぎるのを防ぎながら管理するのがおすすめです。水温が30度以上になると、メダカはストレスを感じて、産卵や食欲が低下したり、病気にかかりやすくなったりします。水温が高いと、水中の酸素も少なくなるので、エアレーションや水流を強めることも効果的です。
水温が低いと、メダカは冬眠に入ります。水温が10度以下になると、メダカは活動を停止して、水槽の底に沈みます。このときは、餌を与えないで、水換えも控えましょう。水温が15度以上になるまで、メダカは冬眠状態を続けます。冬眠中のメダカは、凍結や乾燥に注意して保護しましょう。
産卵の方法と産卵床の種類
メダカは、水草や産卵床に卵を産み付けます。産卵床とは、メダカが卵を産みやすいように作られた人工の物です。産卵床には、以下のような種類があります。
- メダカの産卵マット
- メダカの産卵ネット
- メダカの産卵ブラシ
- メダカの産卵ボール
これらの産卵床は、メダカが卵を産み付けやすいように、細かい繊維や毛がついています。産卵床は、水槽の底や水草の近くに置きます。メダカは、産卵床の中に入って、オスとメスが交尾します。メスは、産卵床の繊維や毛に卵をくっつけます。オスは、卵に精子をかけて受精させます。
メダカは、一度に数個から数十個の卵を産みます。産卵の回数は、個体や環境によって異なりますが、一般的には、1日に1~2回程度です。産卵のピークは、朝方や夕方になります。
産卵床には、卵を取り出しやすいというメリットがあります。卵を取り出すときは、産卵床を水槽から取り出して、卵をそっとはがします。卵を取り出す理由は、以下のようなものがあります。
- 親魚や他の魚に食べられるのを防ぐ
- カビや水質の悪化による死亡を防ぐ
- 稚魚の飼育環境を整える
卵を取り出さない場合は、親魚や他の魚を別の水槽に移すか、卵を保護するための仕切りを作る必要があります。また、水質の管理にも注意が必要です。
まとめ:メダカの卵を見つけた・取ったら!産卵とカビ対策、稚魚の育て方
メダカの卵は、十分な光と水温、新鮮な水があれば約10~14日前後で孵化します。 カビや水の悪化に注意するなど注意点もありますが、回数を重ねるうちによりよく育成することができるようになっていきます。
カビは無精卵がある・通水性が悪くなっていると発生しやすくなるので、適度に水流を発生させるとともに、カビが生えてしまった卵はすみやかに取り除きます。
また、生まれた稚魚はかなり小さいため稚魚用の餌を準備しましょう。
おすすめはゾウリムシなどのプランクトン類で、グリーンウォーターでの飼育も一般的です。繁殖ができると飼育の楽しみ方の幅が広がるので、ぜひメダカの繁殖に挑戦してみてください。
以上、メダカの卵の孵化と稚魚の育て方についてでした。メダカの飼育に役立つ情報をお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?それでは、また次回の記事でお会いしましょう。この記事を読んでくださってありがとうございました。