メダカの稚魚を育てるのは難しい?そんな悩みに答えます!
メダカ飼育を始めたばかりの方にとって、一番の難関は卵から孵化した稚魚の育成ではないでしょうか?「稚魚が育たない」「溶けてしまう」「大きくならない」という声をよく聞きます。
でも、安心してください。この記事では、メダカの稚魚を育てるためのコツや注意点をお伝えします。メダカの稚魚を元気に育てて、親メダカと一緒に楽しみましょう!
Table of Contents
孵化したらすぐにやるべき3つのこと
まず、メダカの卵が孵化したら、すぐにやるべき3つのことがあります。これらを守れば、稚魚の生存率がぐんと上がりますよ!
1. 稚魚を別容器に移す
孵化した稚魚は、親メダカに食べられてしまう可能性があります。だから、すぐに別の容器に移してあげましょう。もしくは、最初から別の容器で卵を孵化させるのもいいですね。容器には、飼育水や砂利を入れて、ろ過バクテリアも一緒に移動させてください。水換えの方法については、後で詳しく説明します。
稚魚は水流に弱いので、エアレーションはつけないでください。エアレーションがあると、稚魚は水流に逆らって泳ぎ続けなければならず、疲れてしまいます。酸欠が心配なら、水草を入れるといいですよ。水草は酸素を供給してくれるだけでなく、稚魚の隠れ家にもなります。
2. 日光の当たる場所に置く
メダカは日光が大好きです。日光に当たると、免疫力を高めるビタミンAと骨の形成に役立つビタミンDの吸収が促されます。これは、稚魚の健康にとってとても重要です。日光の当たる場所に容器を置いて、水温は26~28℃をキープしましょう。
メダカは変温動物なので、水温が高いほうが成長が早くなります。26℃~30℃がベストです。まだ赤ちゃんだからといって、日陰に置いたり、ヒーターの温度を下げたりするのはやめてください。逆に、水温が低すぎると、稚魚は活発に動かなくなり、エサを食べなくなります。水温の変化にも敏感なので、急激な温度差に注意してください。
3. 3日目まではエサをあげない
メダカの稚魚は、最初の3日ほどは、お腹の袋(ヨークサック)の中の栄養だけで生きていけます。ヨークサックは、卵の中にある黄色い部分です。稚魚が孵化すると、このヨークサックがお腹にくっついて、エサ代わりになります。だから、3日目まではエサをあげる必要はありません。
ヨークサックがなくなる3日目あたりからエサを与えましょう。といっても、まだ親メダカのように上手に食べられませんので、エサはできるだけ粒の細かいパウダー状のものがおすすめです。エサの種類や与え方については、次の項目で詳しく説明します。
稚魚に最適なエサとは?エサやりのコツを教えます!
稚魚がエサを食べるようになったら、次はエサの種類や与え方に気を付けましょう。エサを食べるのが下手な稚魚は、餓死してしまうことがあります。エサやりにもちょっとしたコツが必要です。
エサはパウダー状にして与える
エサは成魚用のもので大丈夫ですが、小さい稚魚はサイズが大きいと食べられません。すりつぶして細かなパウダー状にして与えましょう。
すりつぶすのが面倒であれば稚魚用のエサが便利です。 ちなみに稚魚はもぐることができず常に水面に浮いている状態ですので、稚魚用のエサは簡単には水を吸って沈んでしまわないようになっています。
ゆっくりと時間をかけて、少しずつ稚魚達は餌を食べていますので、食べていないからとすぐには片づけないようにしましょう。粉状の稚魚用のエサはほとんど沈まず、そのまま水を含み膨張します。そうなると、もうそのエサは食べないので片づけましょう。
エサやりは1日4回程度が目安
稚魚が1回に食べられる量は少なく、沈んだエサも食べられないので、食べきれる量を4回程に分けてこまめに与えるのが望ましいです。エサやりの時間は、朝、昼、夕方、夜という感じで、できるだけ均等にしましょう。エサやりの量は、稚魚の数や大きさによって、エサやりの量は調整してください。目安としては、稚魚がエサを食べ終わるまでに5分程度かかるくらいがちょうどいいです。エサを与えすぎると、水質が悪化したり、稚魚が太りすぎたりするので、注意してください。
ゾウリムシも人気
人工フードだけでなく、生きたエサ(活きエサ)も稚魚に与えると、より元気に育ちます。活きエサの中でも、ゾウリムシがおすすめです。ゾウリムシは、小さくて動きが遅いので、稚魚が食べやすいです。また、栄養価が高くて、稚魚の色や光沢を良くします。ゾウリムシは、孵化直後は大きすぎて食べられませんので、与えるなら1週間後から。
エサとして与える時はスポイトで食べきれる量を押し出しますが、与えすぎると食べ残しが水質悪化の原因になったり、ゾウリムシの生き残りがメダカにストレスを与えたりするので、調整が難しいエサでもあります。人工フードでも十分ですので、難しいなと感じたらやめておきましょう。 またその他、ミジンコ、ブラインシュリンプ等も併用して稚魚に与えると、より生存率が高くなります。
エサやりが不安ならグリーンウォーターがおすすめ
グリーンウォーターとは、コケや植物プランクトンが発生した緑色に見える水のことです。グリーンウォーターは、酸素供給や排泄物に含まれる有害物質を無毒化する、食料になるといった役割があり、稚魚の生存率をぐんと引き上げます。
たくさんのエサが必要な稚魚にとって、常に周りにエサがある状態は理想的です。人工フードを与えすぎても分解してくれるので、メダカ飼育がはじめての方にとって嬉しいアイテムの一つです。
アルビノメダカの場合
特殊な例として、アルビノメダカ(目の赤いメダカ)は弱視の為、稚魚の内は水面のエサを食べる事がほとんどできません。そのため活きエサを活用しないと、餓死したり、大きくなれない事があります。
またメラニン色素の欠乏の為、紫外線に当たると日焼けをして体が溶けてしまいます。孵化後から1cm程のサイズになるまでは、太陽や強い照明器具(LEDライト)が当たらないように注意しましょう。
メダカの稚魚飼育で知っておきたい注意点
稚魚の飼育には、他にもいくつか注意点があります。ここでは、水換えや隔離、屋外飼育などについてお伝えします。
水換えに注意!
稚魚のときの水換えは事故やストレスを引き起こしやすく、注意が必要です。 まず容器に飼育水や砂利を入れ、ろ過バクテリアも一緒に移動させましょう。
移動する新しい水の飼育水も元の飼育水と同じ温度で必ず水合わせも行うようにしましょう。 稚魚は体がまだ未熟なため、網で掬う時などは慎重に掬いましょう。
レンゲやお玉、ボウル等を使って水と一緒に移動してあげても良いです。少しでも無理をしてしまうと体が曲がってしまったりします。
水換えの頻度は、稚魚の数や大きさ、水槽のサイズ、水質の状態などによって変わりますが、目安としては週に1~2回、水の3分の1程度を交換するのが良いでしょう。
水換えの際には、水質検査キットなどを使って、水のpHや硬度、アンモニアや亜硝酸などの値をチェックしましょう。水質が悪化すると、稚魚は病気になったり、死んでしまったりします。水質の管理は、メダカ飼育の基本です。
1cm以上に育つまで隔離する
稚魚が十分育たないまま親メダカの水槽に戻すと、食べられてしまうことがあります。稚魚は最低でも1cm以上になり、頭がよく育って逆三角形になっているかを確認してから戻しましょう。
この頃になりますと稚魚の大きさにもバラツキが出てきます。早く大きくなった稚魚は小さい稚魚を食べたり、咥えてしまったりします。大きさに差が出てきたら、こまめに確認して水槽に戻しましょう。
同じくらいのサイズ事の稚魚ではそういったことはおこりませんし、大きな稚魚を移すことにより残った稚魚達もすくすくと育っていきます。
生後2ヶ月ほど経つと、稚魚でも卵を食べることがあります。 もし稚魚の水槽に卵が共存する場合は、卵を別容器に移しましょう。
稚魚の飼育に必要なお水の量
お水の量が少なすぎると、エサやメダカの排泄物によって水質が悪化しやすくなり、稚魚がうまく育ちません。 目安として2リットルあたり、生まれたばかりなら20匹位まで、生まれたばかりなら20匹位まで、1cmまでの稚魚なら10匹程度飼うことができます。というのが、お水の量の目安です。
もちろん、容器の大きさや水質の状態によっても変わりますので、稚魚の様子を見ながら調整してください。お水の量が多すぎると、稚魚が見つけにくくなったり、水温が安定しなかったりするので、注意しましょう。
メダカの稚魚が孵化したら、どうやって育てる?屋外飼育のコツと注意点
メダカの稚魚が孵化したら、どうやって育てるのでしょうか?屋外飼育の場合は、季節によって稚魚の成長のスピードが変わります。これは水温の違いによって起こります。春生まれの稚魚たちは、朝晩水温が下がるため、成長スピードはゆっくりです。成魚になるまで3か月程かかります。夏生まれの子たちは水温が高いので成長スピードが速く、2か月程で成魚まで成長します。夏は稚魚育成に最も適した季節です。
しかし、屋外飼育にはいくつかの注意点があります。親メダカよりも稚魚水槽は過密になるため、酸欠なども起こしやすかったりします。成長とともに1匹1匹の酸素の量が増えていくため、あまり過密になっているときは稚魚を半分ずつ位に分けて飼育すると良いでしょう。また、最近の8月の気温は想像以上に高温です。日中は水温を確認し日除けや足し水で水温調整をしてください。さらに、夏場は稚魚たちの天敵となる捕食者も飼育水槽に紛れ込んできたりします。ボウフラやヤゴなどはメダカの稚魚を捕食しますので、定期的な水換えや発見次第対処するなど気を付けましょう。
それでもうまく育たない場合は?卵の管理が重要!
稚魚をうまく育てる道のりは、実は卵の管理から始まっています。しっかりと太陽光や、室内の観賞魚用照明器具(LEDライト)の光を浴びて生まれた有精卵の色は、黄色をしています。黄色の色は親メダカがしっかりとビタミンBを体内に保有し、産卵していることを表しています。卵の色は親メダカが、体に光をしっかり浴びているかいないかで変わります。
メダカも私たちと同じようにビタミンBが不足すると風邪をひきやすく、抵抗力が弱くなってしまいます。事実、光量の弱いライトでの室内飼育、日陰で産卵したメダカの卵の有精卵は無色透明であることが確認されています。ビタミンがたっぷり含まれている卵から生まれてくる稚魚と、あまりビタミンが含まれていない稚魚では、当然その後の成長にも大きく違いが出てきます。
また『積算温度』といって、卵が孵化するまでのおおまかな日数を計算するための温度指標があります。
メダカは積算温度が250℃と言われており、例えば水温が25℃の場合は約10日、水温が20℃であれば12~13日で孵化が始まります。
特に日陰に避難させたりしてしまうと、積算温度まで日数がかかり過ぎて、孵化できずに有精卵がダメになってしまうことがあります。親メダカと同じ環境であれば稚魚も適応できるので、過保護には気を付けましょう。
まずは親メダカの環境をしっかり整え、良い卵からスタートできるようにしましょう。
メダカの稚魚育成の楽しみと感動
いかがでしたでしょうか?ポイントをまとめると、下記のようになります。
- 日頃から親メダカにしっかり太陽を浴びせ、黄色い卵を生んでもらう。
- 稚魚が生まれたら別容器に移す(1cm以上に育つまで)。
- 容器は日光の当たる場所に置く。
- 生まれて3日目まではエサをあげない。
- エサはパウダー状にして1日4回程度、またはゾウリムシなどの微生物やグリーンウォーターもおすすめ!
- 水換えや水量には要注意
- 屋外飼育は水温やボウフラなどが発生していないかを、しっかり観察する。
稚魚育成は難しいですが、コツさえ掴めば誰でも必ず育てることができます。自分で卵から育てたメダカは特に愛着も湧きます。そしてメダカ飼育の醍醐味でもありますので、ぜひ楽しみながら稚魚を育ててみてください!
メダカの稚魚は、小さくても元気に泳ぎ回ります。その姿を見ていると、自然の不思議や生命の喜びを感じることができます。メダカの稚魚を育てることは、5歳から70歳までの幅広い年齢層におすすめの趣味です。メダカの稚魚を育てて、メダカの魅力にハマってみませんか?